製剤工夫
製剤技術を特化させ、医薬品製造業者として医療現場を支えてきました。
これからも、常に患者さまの目線に立ち、医療ニーズに応えた医薬品をお届けし続けます。
ニフェジピンCR錠10・20・40mg「ZE」
提灯ちょうちん状に膨潤し一定の速度で
溶解する徐放性製剤
製剤構造
主薬であるニフェジピンを含む素錠部分に三層のフィルムコーティングを施した徐放性のフィルムコーティング錠です。
素錠部分は水を含むと膨潤する水溶性ゲル化剤とニフェジピンからなります。
三層のコーティング層は内側から、エチルセルロースを使用した溶出制御層、主薬であるニフェジピンを含有した主薬コーティング層、赤色の着色を施した遮光コーティング層です。
比較的薄いフィルムコーティングを用いることで、錠剤の小型化も考慮しました。
徐放機構
本剤はマトリックス型製剤であり、膨潤する水溶性ゲル化剤の吸水性を利用して、特徴的な徐放化を図っています。徐放機構はイラスト記載の通りです。
遮光コーティング層が溶けた後、主薬コーティング層中のニフェジピンが徐々に溶出します。次いで、溶出制御層のエッジ部分(緑色部分)から水が浸透することで、素錠部分が水を含んで膨潤し、側面からゲル化剤とともにニフェジピンが徐々に溶出します。ニフェジピンCR錠は主薬コーティング層と素錠部分からの薬剤放出速度を0次に調節し、均一な速度でニフェジピンを放出しています。
徐放機構のイメージ写真
注意事項
本剤は水により素錠部分が膨潤しますが、素錠は崩壊するわけではなく、錠剤側面から徐々にニフェジピンが溶出します。ニフェジピン溶出後、溶出制御フィルムは溶解せず残り、そのまま体外に排泄されることがあります。溶出制御層の厚みは50ミクロンと薄く、エチルセルロース自体も医薬品等の添加物として一般的に使用されています。
[参照]小笹維也 他: 医学と薬学. 2004; 52(1): 79-83
林田知大 他: PHARM TECH JAPAN. 2006; 22(8): 185-192
(適)202110NCR-01
アンブロキソール塩酸塩徐放OD錠45mg「ZE」
速放性微粒子と徐放性粒子を含有する
徐放性口腔内崩壊錠
開発の経緯
従来アンブロキソール塩酸塩を有効成分とする徐放性製剤はカプセル剤のみでした。患者さまのアドヒアランスの向上及び医療従事者の利便性向上を図る目的で、徐放特性を残しつつ、口腔内速崩壊性を付加した錠剤を開発することとしました。
薬剤の特性
本剤は、アンブロキソール塩酸塩を含有する速放性微粒子と徐放性微粒子を、賦形剤、香料(ヨーグルトコートン、ℓ-メントール)等と混合・打錠した徐放性の口腔内崩壊錠です。
速放性微粒子は口腔内への原薬の苦味残留を防ぐために、シールコート層および苦味マスキング層を施しています。徐放性微粒子は、シールコート層、放出制御層およびオーバーコート層を施し、製剤に徐放性を持たせています。シールコート層は表面を滑らかにし、ロット間の溶出性のバラツキを無くすことや、製剤の苦味を緩和することが出来ます。オーバーコート層は、微粒子のコーティング膜の破損を防止しています。なお、本剤は徐放性カプセル剤と製剤学的、生物学的に同等性が認められています。
[参照]山崎淳治 他: 医薬と薬学. 2014; 71(6): 1029-1036
(適)202110ABRD-01
プレガバリンOD錠25・75・150mg「ZE」
プレガバリン自体を顆粒化、その顆粒に
コーティングを施し
苦味マスキングする技法
(SYNBRIDシンブリッド®)を活用した口腔内崩壊錠
複合体を形成していくことで原薬顆粒を設計
SYNBRID®法
SYNBRID®法は、全星薬品工業が開発した新しい技術です。SYNBRID®法を用いることで核粒子を使用せず高含量の原薬を直接顆粒化することが可能になるため、原薬以外の成分分量を比較的少なくすることが出来ます。
プレガバリンOD錠の苦味マスキング顆粒はSYNBRID®法を採用した機能性微粒子となります。
原薬顆粒の製造イメージ
直接顆粒化装置(CTS-SGR)
原薬顆粒
薬剤の特性
本剤は、苦味マスキング顆粒を製し、速崩壊性顆粒、賦形剤、香料(ユズ風味)、滑沢剤と混合・打錠した口腔内崩壊錠です。
口腔内崩壊錠にするために、原薬であるプレガバリンを含む苦味マスキング顆粒のほか、速やかな崩壊性を促す速崩壊性顆粒を加えました。
また、プレガバリンは特異な味があるため、SYNBRID®法を用いて原薬の苦味をマスキングし、加えて速崩壊性顆粒に甘味剤であるスクラロースを添加することで二重の苦味マスキングを施しています。
(適)202202PGBD-01
ピーエイ配合錠
用量調節が簡便に行え、
錠剤化により苦味をマスキング
薬剤の特性
ピーエイ配合錠は、顆粒剤を錠剤化することにより、用量調節時の計量を簡便にし、患者さまの選択肢を増やしたり、飲みやすさやコンプライアンスの向上を考慮した製剤です。また、顆粒剤から錠剤にすることで、苦味を抑えることも考慮しました。
また、総合感冒剤は、様々な年齢の患者さまが服用すると考えられたことから、錠剤のつまみやすさや服用のしやすさに関する先行研究を考慮し、大きさを決定しました。
(適)202110PAM-01
メマンチン塩酸塩OD錠5・10・20mg「ZE」
原薬に二重の苦味マスキングを施し、
水あり水なしでも服用可能な口腔内崩壊錠
薬剤の特性
口腔内崩壊錠は口腔内で錠剤が少量の唾液により速やかに崩壊するよう設計された医薬品です。しかし、その崩壊する特性により通常よりも苦味を感じやすいため、原薬の苦味を口腔内でマスキングすることは製剤設計において重要です。
有効成分であるメマンチン塩酸塩は苦味を有するため、本剤の製剤化に当たっては甘味剤を添加(官能的マスキング)するだけではなく、メマンチン塩酸塩にも苦味マスキング(微粒子コーティングによる物理的マスキング)を施し、ストロベリー風味の製剤としました。
苦味マスキング顆粒は、結晶セルロースを核粒子として、メマンチン塩酸塩層、シールコート層、苦味マスキング層でコーティングし、十分に苦味を抑制する製剤設計としています。
また、口腔内崩壊性を発揮すべく、別工程で速崩壊性顆粒を作ります。これらの顆粒を賦形剤と混合・打錠することで本剤を製します。
[参照]砂山友希 他: 医薬と薬学. 2020; 77(6): 925-936
(適)202110MMD-01